エンジニアのための海外移住ロードマップ!お勧めする理由と失敗しない移住パターン。
現代はエンジニアにとって何時になく可能性に満ちた時代となっている。
先進国の多くはエンジニア人材の確保を重要な国策のひとつと考え、魅力的な労働条件を提示して優秀なエンジニアを自国に囲い込むために努力している。
この状況は日本でエンジニアとして働いているあなたにとっても無関係なことでは無く、数年の実務経験を持ち多少の英語力を持つ人であればすべての人が「世界へのチケット」を手にしているということを自覚すべきだ。
今回はドイツに移住して12年エンジニアとして働き始めてから5年目になる著者が、海外での実際の経験を基に海外移住へ向けての具体的で再現性の高いロードマップを提示してみたいと思う。
よくある失敗談や気を付けておいてほしい事柄も包み隠さず書いていくので、安易に移住を勧めるだけの記事になっていない点は安心してほしい。
海外で働くという選択肢
冒頭でも触れたように「エンジニアとしての経験」は世界の多くの国で通用するパスポートのようなものである。
エンジニアという肩書きはビザの取得や住居探しなどあらゆる生活の場面において有利に働き、自分が移住先の国において「招かれる存在」であるという実感は感じられるだろう。
海外移住という選択肢は随分と現実的なものとなってきている。
もちろん言葉の問題というものもあるが、普段から英語で書かれた技術書に目を通しているエンジニアであれば、職場でのコミュニケーションに必要な英語力を手にするのにそれほどの時間は掛からないだろう。
先行きの分からない現代に「海外で暮らす」という選択肢を常に持っておけるというのは最大のリスクヘッジでもあある。
この記事を書いている2022年現在はまだコロナが収束しておらず、海外への移動は制限されているが、コロナが収束する頃にはまた多くの人が海外から日本へ、日本から海外へと移動することだろう。
海外移住の4つのシナリオ
まずはエンジニアとして海外移住する人にはどのようなパターンが考えられるか整理してみたい。
実際にほんとに数多くの移住シナリオが考えられるがそれらをざっくりと分類すると以下のようになるだろう。
- 日本でキャリアを積んで移住して、その国ので仕事を探す
- 現地の大学に通う。もしくは職業訓練プログラムを受ける
- 海外に住みながら日本の会社やクライアントのために働く
- 日本に支社を持つ外資系企業で働く
日本でキャリアを積んで移住して、その国で仕事を探す
最初のシナリオは、日本で数年エンジニアとしてのキャリアを積んだ後に移住して、移住先で仕事を探すパターン。
これは一番オススメできるパターン。なにせ日本でエンジニアとして働いた経験があり自分がエンジニア職に向いているかどうかを判断したうえで現地に来るので失敗する可能性は低い。
また日本でエンジニアとして働いていれば当面の資金を蓄えることもそれほど難しくないだろう。
続く章で詳しく説明するが必要な経験年数としては3年を目安に考えるといいだろう。
エンジニア職では日本のように「未経験枠」がある場合はほとんど無いと考えたほうがいい。
現地の大学に行く。もしくは職業訓練プログラムを受ける
エンジニアとして移住を考えるならば、現地の大学に通うというのも有効な手段のひとつだ。
現地の国で大学に進学する資格を自分が持っているかどうかはまず最初に確認しなければならないが、大学に進学できない場合はその国が用意する職業訓練プログラムを受けるという点もある。
また、日本で工科系の大学を卒業した人であれば修士課程のみを現地の大学で卒業するという手段もある。
なお、3か月程度で集中してプログラミングを学び「ブートキャンプ」などと呼ばれる講座も各地で行われているが、経験が現地の企業で承認されるか疑問な場合も多くあまり期待はしないほうがいい。
海外に住みながら日本の会社やクライアントのために働く
既にフリーランスのエンジニアとして働いている人であれば、その仕事を続けたまま海外に移住するというのもありな選択肢だ。
特に生活費の安い東南アジアなどの国に住むのであれば、日本の給料を得たまま生活費を数分の一に抑えれるわけで、資産を貯めたいという場合でもいい選択肢だろう。
エンジニアとして安定した収入があり、現地でしっかりと納税するならばビザを取得するのはそれほど困難では無いだろう。
日本に支社を持つ外資系企業で働く
日本に支社を持つ外資系企業、または海外に支社を持つ日本企業で働くというのも海外移住を考える人の中ではよく知られた手だ。
勤め先を持ったまま海外に移住できるので、もっとも安心できるパターンかもしれないが、自分の希望が聞き入れらるかどうかは会社の状況によるのであまり当てにはしないほうがいいかもしれない。
海外移住へのロードマップ
ここからは本題である海外移住へ向けたロードマップを以下のステップで確認していきたい。
- ビザや生活費などの情報収集
- エンジニアとしてキャリアを積む
- 当面の生活資金を貯める
- 現地の言語(英語)を習得する
- 現地の求人情報をチェックする
- 仕事の応募や面接に備える
ビザや生活費などの情報収集
海外移住を考えるならまずは目的の国の情報を集めることから始めよう。
先進国の多くは就労先が決まれば就労ビザを取得できるので問題ないが、それを見つけるまでどのビザで滞在するのかは考えなくておかなくてはならない。
20代であればワーキングホリデーを利用して現地に移住して、仕事先が決まったら就労ビザに切り替えるというのが一番無難だろう。
また、生活費や住宅事情といった点も事前にできるだけ詳しく調べておきたいポイントだ。
著者が住んでいるベルリンもそうだがIT企業が集める地域は住宅不足が大きな問題となっていることが多い。
家賃の高さももちろんだが、そもそも空きの物件はどれほどあるのかは事前に調べておいたほうがいい。
なお、入国やビザに関する規則は変更が激しい。具体的にプランを進める段階になったら大使館などの公的機関に一度確認するようにしてほしい。
エンジニアとしてキャリアを積む
エンジニアとして海外移住を目論むならば「エンジニアとしての経験」は言わずもがな重要だ。
先進国の多くは優秀なエンジニアを自分の国で確保するのは重要な国家戦略だと考えている。(例として、ルーマニアではエンジニアに対する大幅な税金の免除をおこなっている。)
どの国でも優秀なエンジニアは足りておらず、エンジニアである外国人にはぜひ来てほしいと考えている。しかし、ここで気を付けてほしいのは優秀なエンジニアは足りていないが「エンジニア職に就きたい」と思っている人は自国に充分に存在するという事である。
つまり、確固たる経験を既に築き上げていてそれを証明できる人ならばぜひ欲しいが、実務経験の無い人は欲しいと思っている企業は無い。
経験ありのエンジニアとして海外で仕事を探すなら少なくとも3年くらいは日本でキャリアを積んだほうがいい。
「3年」という根拠は「ジュニアデベロッパー」から通常の「デベロッパー」へとランクアップするのがおおよそ3年と考えている人が多いという点だ。
また、1つの会社で5年・10年と働いてきた人よりも2社・3社と違う職場で経験を積んできた人のほうが面接などで自分をアピールするうえでのアプローチの幅が拡がる。
日本で転職を考えるならば紹介できる案件の幅が広く、自分のキャリアプランに沿った転職をしやすいレバテックキャリアのような転職エージェントを利用するといいだろう。
当面の生活資金を貯める
当面の生活資金も準備しておかなければならない。
これはどの国に移住したいかによって大きく異なってくるが、目安として50~100万円は用意しておきたいところだ。
海外に住んでいると「会社を突然クビになった」という話はよく耳にする。やはり日本の企業と較べると従業員の生活を守るといった意識が薄い企業が多いのかもしれない。
また、海外に住んでいると住居や書類の申請などで予想外の出費が重なることも多い。
海外で移住するならばできる限り多く資金は貯めておいたほうがいい。
現地の言語(英語など)を習得する
もちろんだが現地の言語を習得することも大切だ。
エンジニアはスキルで勝負するというのは間違っていないが、ほとんどの職種では言葉を使ってチームメンバーと意思疎通を図る必要がある。
また仕事で必要となる語学力は非常に高度なものだ。
英語であればTOEIC700点。その他のヨーロッパ系言語であればヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)のC1レベルを目安として考えておくといいだろう。
現地の求人情報をチェックする
海外でエンジニアとして仕事を探す予定の人には、できるだけこまめに現地の求人情報に目を通すことをお勧めしている。
これには以下のような目的がある。
- 自分の希望する案件が移住予定の都市に充分な数あるか確認する
- その都市の案件の傾向を掴む
- 求人から求められている人材とその会社が抱える問題を読み解く
- 自分の持っているスキルと求められているスキルを擦り合わせる
求人情報を読むのは無料だが多くの情報が詰まっている。
自分が伸ばすべきスキルにはできるだけ早い時期に気づいておいたほうがいい。
求人の応募や面接に備える
日本と海外の国々では求人への応募や面接の方法といった面で異なる点が多い。
なかでも海外移住を目指すエンジニアにとって一番の課題となるのが技術面接(テクニカルインタビュー)だろう。
技術面接が大変なのはそれを英語などでおこなうからという理由もあるが、それ以上に問題なのは出題の形式が企業によって大きく異なるという点だ。
求人の応募や面接に関しては他の記事にまとめる予定なのでここでは多く語らないが、準備のための期間としては3~6ヵ月は考えておいたほうがいい。