日本と海外のエンジニアの7つの違い!ドイツ企業で働くプログラマが語る。
この記事では、ドイツ・ベルリンでエンジニアとして働く著者が、日本と海外のエンジニアの違いを7つのポイントにまとめて紹介する。
おもに日本で働きながらいつか海外で働くことを視野に入れているエンジニアの人に向けて書いているが、エンジニアの文化の違いについて知りたいという人にも役立つ内容となっている。
なお、エンジニアとして充分なスキルと経験を持つ人ならば世界のどの地域でも働くチャンスはあるが、ここではおもにアメリカ、ヨーロッパなどの西欧諸国を「海外」として想定しながら書いている。
日本と海外のエンジニアの7つの違い
では、早速結論から書こう。僕が考える日本と海外のエンジニアの違いは以下の7つだ。
- 給与水準の高さ
- 労働環境の良さ
- エンジニアとしての待遇
- 技術レベルの違い
- キャリアプランの違い
- 採用面接のスタイル
- 業界構造の違い
それぞれについて詳しく書いていこう。
給与水準の高さ
まずはやはり気になる給料の事から。
これはもちろんどこの国を基準にするかによって全く違ってくるが、アメリカやヨーロッパをなどの西洋諸国であればおおむね日本よりも給料が高い。
僕はドイツに10年以上住んでいるので、日本のIT業界の最新状況はそれほど詳しくないのだが案件や給料などについては定期的にチェックするようにしている。
日本の場合はIT業界の中でも給与水準の二極化が進んでおり、年収800万円以上を謳う好条件の案件がある一方で、月20万円台前半というエンジニアとしては随分と安い給与水準の案件も存在する。
ただし、給料は高いものの税金・物価・家賃などの違いからそれほど金銭的なメリットを感じられないことも多いので、移住などを考えている人は注意が必要だ。
ドイツのエンジニアの給料について詳しくはこの記事で紹介しているので興味のある人は読んでみてほしい。
労働環境の良さ
そして、次は労働環境について。
これはよく聞く話なので知っている人も多いと思うが、ヨーロッパ諸国のエンジニアの労働条件は日本と較べると良い。(ただし、日本にも労働条件の素晴らしい会社はたくさんある。)
まず労働時間についてだが、ドイツでは早めに仕事を始めて終業時間きっかりに家に帰る人が多い。
特にチームリーダーなど責任の重い役職についている人ほど早めに帰る印象が強い。
著者も16時30分には仕事を終え、買い物に行ったりと息子と散歩に出かけたりしている。コロナでリモート勤務になってからは特に自分や家族のために使える時間は増えた。
有給休暇は1年に30日前後のところが多い。もちろんほとんどの人が完全に消化する。
よくある例としては夏に3週間、冬に2週間の休みを取るというパターン。
ある程度まとめた休みが取れると仕事を辞める人というのは少なくなる気がする。プロジェクトが大変であっても「次の休みまではなんとか乗り切ろう!」という気持ちになるからだろう。
ドイツでは育児休業は一人の子供に対して夫婦合わせて最長3年間取得できる。よくあるのは出産後に妻が1年、旦那が2ヵ月取得するパターンだ。
労働環境についてはまだまだ書きたいことがあるが、一言で言うなら日本よりも「労働者の立場が強い」ということに尽きるだろう。
エンジニアとしての待遇
著者が住んでいるベルリンではエンジニアの待遇は日本と比較して良い。
エンジニアというと給料の良さばかりが取り沙汰されるが、人間は社会的な生き物。世間から爪弾きにされるよりは多くの人から認められ必要とされて生きていたいもの。(その気持ちが強すぎても問題だが…)
ドイツでは昔から職人の地位は高く、「プロフェッショナルな技術を習得した人」「スキルで生きていく人 」 に対する尊厳というのは強い。
初対面の人と話をするときに職業がエンジニアであれば、語学力が拙くとも「もそこそこ頭は良い。」ということが証明できて楽だ。
また、ビザの取得や家を探す際にも技術者であるという事が証明できれば、スムーズに物事が運び、余計なストレスを感じる必要は無い。
エンジニアの待遇に関しては、日本のエンジニアのイメージもさらに向上するべきだと思うし、日本でエンジニアとして働く優秀な外国人の待遇も今以上に良くするべきであると著者は考えている。
技術レベルの違い
次はエンジニアの技術レベルに関して。
僕はドイツで正社員のプログラマとして働き始めて4年目になるが、技術レベルという部分では日本と海外では大きな違いはない。
ただし、海外では未経験の人をエンジニアとして雇うということはまず無く、そもそも大学やスクールを卒業した人のみが仕事に就くので、就職したもののまったく戦力にならないという人は少ない。(ただし、インターン生の場合は実力にはバラつきがある。)その分、ドイツのほうが平均的なレベルが高いということは出来るかもしれないが違いはそれほど大きく無い。
今、日本ですでにエンジニアとして働いていて海外で働くことを目標にしている人は、「世界のレベル」を必要以上に高く見積もるべきでは無い。日本で優秀であって十分な語学能力があるならば、きっとどの国でも通用するポテンシャルは持っていると考えていいだろう。
スキルという面で言えば、コミュニケーション能力やプレゼンテーションのスキルは海外でも高く評価される。
キャリアプランの柔軟性
海外で働く良さとして、個人的に一番大きいと考えているのはキャリア形成が柔軟である点だ。
逆に言えば、日本の労働市場の一番良くない点は「理想の人生設計」が固定されている点だ。
日本では、大学 ⇒ 就職 ⇒ 結婚 ⇒ 子供 という順番が「普通」とされており、また、転職することはだいぶ一般的になってきたものの、専門分野を変更することはとてもチャレンジングなことだと考えられている。
ドイツでは、すでに働いている人が教育を受けなおし、新たな職種に就くということがごく一般的になっている。
40歳を過ぎてからIT業界に流れてくる人も普通にいるし、そういった人たちは若い人たちに比べて仕事が続く率も高いし、チームプレイヤーである人も多いという印象がある。
適性のある人であれば国籍・年齢・性別に関係なく採用するというスタンスのほうが優秀な人材を確保しやすいと思うのだが、日本の企業はいまだに年齢制限を設けているところが多い。
一度、就職している人がフリーランスとなったり、再度就したりといった方向修正をすることもよくある。
採用面接のスタイル
エンジニアの採用面接の流れも日本とは異なる。
よくある違いをまとめると以下のようになる。
- 応募の際はカバーレターを一緒に送る
- 電話面接がある場合もある
- 技術に関する質問がある場合が多い
- テストとして課題制作をおこなう場合もある
特にこの中で技術面接でここでは、簡単なテストをおこなうことになる。
この結果だけで採用・不採用を決めるわけではないが、ある程度の基準をクリアしないとそこで不採用が決定することとなる。あえて難しい問題を出題して、どのように答えを導き出すか反応を伺う企業もあるので解けなかったからといって諦めてはいけない。
あと、海外では企業ごとの評価基準の違いが日本よりも大きいと思う。
ひとつの企業で面接を受け結果が散々だったとしても、他の企業では高く評価され採用されるということは普通にある。
業界構造の違い
これもよく話題になる話なので知っている人も多いかもしれないが、海外には日本のような多重下請けの構造は少ない。
基本的にソフトウェア会社であれば自社で開発をおこなっているし、開発チームのメンバーを協力会社メインで組むということも少ない。
ただし、UIのデザインはフリーランスの人に外注するパターンは多い。