Angularとは?Googleが開発する究極のJSフレームワークの魅力に迫る!

この記事では、React・Vueと並び3大JavaScriptフレームワークの一角を成す「Angular」について解説する。
いまやウェブアプリケーションを開発する際に必ずと言っていいほど使われるようになったフロントエンドのフレームワーク。
ここ数年はその人気に陰りが見え始めているが、AngularはReactと並び2020年頃までもっともよく導入されるフレームワークだった。
この記事では、なぜAngularが現場で避けられるようになってきたのか、また、どういった点でAngularがまだ魅力的と言えるのかについて深堀して解説したい。
なお、著者ドイツでAngularの開発者として5年ほどの実務の経験があり、いまだに熱心なAngularファンである。
Angularについて
では、Angularについて解説していきたい。
Angularとは?

AngularはGoogleにより開発されているWebアプリケーションのためのフレームワーク。
高度な機能を持つWebアプリケーションの開発に使用される。また、堅牢なアーキテクチャを持ち大規模プロジェクトにも向いている。
ビジネスロジックの記述にはJavaScriptの拡張版である「TypeScript」を使用する。
Angularの進化
この記事を書いている2025年1月現在はAngular 19が最新バージョンである。
Angularのバージョンアップは年に2回のペースで行われる。
Angularはバージョン17より大規模なアップデートが施され、制御フローなどの根本的な部分で改善がおこなわれた。
- 新しい制御フロー
- Signalの導入
- コンポネントのスタンドアローン化
これらの改善によりAngularはシンプルで直感的な記述を用いながら、先端のWebテクノロジーを使ったアプリが開発できるように進化した。
Angularの特徴
Angularのおもな特徴は以下の点だ。
- SPA(シングルページアプリケーション)
- コンポーネントベースのアーキテクチャ
- フルスタックフレームワーク
それぞれについて簡単に説明したい。
SPA(シングルページアプリケーション)
AngularはSPA(シングルページアプリケーション)のためのフレームワーク。
SPAはReact・Vue・Angularに共通する特徴で、ページを遷移する際にロードが発生しないため、ユーザはデスクトップアプリのように快適に使用することができる。
技術的な観点から説明するとAngularプロジェクトのすべてはindex.htmlの一部に集約されて読み込まれている。
コンポーネントベースのアーキテクチャ
AngularはReact・Vueと同様にコンポーネントベースのフレームワークだ。
コンポーネントベースのフレームワークでは、ページを構成するヘッダー・サイドメニューといったパーツはコンポーネントという単位に分割される。
これによりコンポーネントの効率的な再利用を可能としている。
コンポーネントはデフォルトでは以下の4つのファイルから構成される。
- html
コンポーネントのテンプレートを記述する。Angular特有の変数や制御構造も使用できる。 - css
コンポーネントのスタイルを記述する。scss・sassを使用することもできる。 - ts
ビジネスロジックを記述する。tsはTypeScriptの拡張子。 - spec.ts
ユニットテストを記述する。標準ではJasminというユニットテストのフレームワークを使用する。
なお、テンプレートやスタイルはtsファイル内に記述してもいい。
フルスタックフレームワーク
Anuglarはフルスタックフレームワークだ。
つまり、Webアプリケーションの開発に必要となる機能はあらかじめ備えている。
代表的な機能を列挙すると以下のようになる。
- ルーティング
- 状態管理(Store)
- HTTPリクエスト
- リアクティブプログラミング(RxJS)
- SSR(サーバーサイドレンダリング)
- ユニットテスト(Jasmine・Karma)
同じくJavaScriptのフロントエンドフレームワークであるReact・Vueとはこの点で異なる。
Angularの長所
次にAngularの長所を紹介したい。
Googleのバックアップ
AngularはGoogleが開発するフレームワーク。
大きな資本力と最先端の技術を基に開発されているという点は、技術選定をおこなう人間にとって重要なポイント。
今後、AIとウェブアプリケーションの接点は増えていくと考えるとAngularの優位性は侮れない。
ライブラリとの高い互換性
ウェブアプリケーションの開発には多くのサードパーティライブラリを使用することになる。
JavaScriptライブラリの多くはAngularに対応している。また、使用する開発者が多いことからバグやアップデートの対応といった点でも良好なサポートが期待できる。
ウェブ上に情報が豊富
AngularはReactと同様に長い歴史を持つフレームワーク。
StackOverflowの質問をはじめインターネット上にはAngularに関する多くの情報がある。
これらは開発者にとっては大きなポイントだろう。
Angularの欠点
Angularの欠点と感じる部分も挙げておこう。
学習コストが高い
Angularの学習コストはReactなどの他のフレームワークよりも高いと言われている。
AngularはReact・Vueとは違いフルスタックフレームワークなので、覚えることが多いのは当然と言えるが、フレームワークの学習のために開発時間が割かれるのはやはりとマイナスなポイントである。
また、学習コストの高さはスタッフィングの難しさにも繋がる。
記述のバリエーションが多い
AngularはReact・Vueと同様にテンプレートの記述にAngular独自の構文を使用する。
これらの構文書き方には多くのバリエーションがあり、それぞれに使う場面が異なったり、制約があったりする。
特に最近のアップデートで記述のバリエーションがより多くなった。
こういったバリエーションはコードの不統一に繋がるだけでなく、バグが発生する遠因になったりもするので開発者にとっては厄介である。
Angularの将来性
最後にAngularの将来性について著者の考えを述べたい。
Angularは人気が無い?
Angularはよく「人気が無い」と巷では言われるが実際にところはどうなのだろう。
JSフレームワークの中で一番ポピュラーなのはReactであり、Vueもここ数年で大きく存在感を高めてきた。
著者としては以下のようなパターンではAngularを導入するプロジェクトはあると考えている。
- 大規模プロジェクト
- 機能性を重視するアプリの開発
- オブジェクト指向に慣れた開発者が多く参加するプロジェクト
これからウェブアプリの開発を勉強したい人は、Angularから習うのも選択肢としてはアリだろう。
MEANスタック
最近ではあまり聞かなくなった言葉だが、ウェブアプリケーションの開発で使われるテクノロジーは海外では「MEANスタック」と呼ばれている。
MEANスタックはMongoDB, Express.js, Angular, Node.jsの頭文字を取った表現であり、Angularはその中でも中心的な役割を担っている。
つまり、既に多くの企業がプロジェクト内でAngularを使用しておりAngular開発者の需要はしばらくは安定していると考えていいだろう。